ふたばで子育てする人のリアルボイス #002 | 葛尾村Rさん夫婦
双葉郡で子育てする人たちが普段どのように暮らし、子育てしているのか。「本当のところ、双葉郡で子育てするってどう?!」という疑問の声にこたえる「ふたばで子育てする人のリアルボイス」。
葛尾村は2016年6月12日に帰還困難区域を除いて避難指示が解除されました。そこから4年が経ち、少しずつ地域の営みが再開して子どもたちの声も聞こえるようになってきました。
今回、お話を聞いたのは、2019年春に葛尾村に移住したRさんご家族です。
ー今日はどうぞよろしくお願いいたします!
Rさん(夫妻):よろしくお願いします!
ーまずはお二人が葛尾村に移住されたきっかけを教えてください。
Rさん(夫):私たちは福島市の出身で、出会いも福島市。2014年に結婚して2018年に長女を出産しました。そのころは県中地域(郡山市を中心とした地域)で生活していましたが、私の転職を機に葛尾村へ移住しました。前職で村に関わることが多く、恩を感じていました。ここで仕事ができたらと思い転職を決意したんです。
ー葛尾で暮らすこと、子育てすることに不安を感じることはありませんでしたか?
Rさん(妻):移住に向けて生活面や経済面、子育て環境について夫婦で何度も話し合いをしました。話し合いを重ねるうち村での暮らしを具体的に考えられるようになり、お互いに納得して移住に踏み切りました。
村で子育てするメリット
ー村の子育て支援も結構充実しているそうですね。
Rさん(夫):村の子育て支援はかなり充実していて、移住を決めるうえで大きなポイントになりました。給食費は無料。研修旅行や夏期講習もある。「葛尾村未来こども助成金」なんていうのもあります。小・中学生になれば独自の取り組みもありますし、児童数が少ない分先生がしっかり見てくれます。
ー少人数だからこそのメリットがあるんですね
Rさん(夫):ご近所さんが当たり前に声をかけてくれる。同世代は少ないけれど、その分親が汗かいてスポ少など子どもに機会をつくることが大事だと考えています。特にこれからは5教科だけの教育ではない創造性など新しいことをつくっていくということが大事になってきますよね。そういった意味でも、村での子育てはいい環境だと考えています。
ー普段の暮らしぶりはどうですか?
Rさん(妻):村では年配の方も当たり前に声をかけてくれるので、いろんな世代の人と関わることができています。その中で思いやりや想像力をはぐくむことができるんじゃないかと期待しているんです。集まりも多くて、ママ友会やお父ちゃん会、スポーツクラブもあります。みんなの顔が見えるというのも、村での暮らしの特徴です。
ー預け先やお休みの日の過ごし方を教えてください。
Rさん(妻):私が仕事をスタートするまでは、かつらお幼稚園の一時預かり(利用上限週3日)を利用していました。実は3歳未満ですと預けられるところが少ないんです。仕事したい人は村外に預けたりもしていると聞きますが、自営の方も多いのでおうちで見られる方もいます。
休みの日ですが、ここは意外と県中地域へのアクセスが良いので、郡山市や本宮市の遊び場を利用しています。村の「復興交流館・あぜりあ」もよく行きます。
コロナ禍での子育て
ーコロナ禍での影響はありましたか?
Rさん(妻):緊急事態宣言(2020/4/16~5/13)が出されていたころは幼稚園が休園。5/20から再開し、いまでは通常の幼稚園生活です。しかし外部の人との関わりや行事は変更しながら行っています。村外の屋内遊び場も閉まっていてなかなか出かけられなかったです。
一方で、村内であればみなさんの顔が見えるので、自分がきちんと予防することで対策できるかなと思っています。幼稚園でも十分に対策はしていただき、神経質にならずに遊ばせることができています。
ーお買い物や病院はどのようにされていますか?
Rさん(妻):子どもを連れての買い物は抱っこで、時間をかけずに済ませるように注意しています。病院は結構大変で、熱が出たので薬をもらいに行ったんですがちょっと警戒されてしまいました。
ー村全体では影響ありましたか?
Rさん(夫):「復興交流館・あぜりあ」や「せせらぎ荘」などの公共施設はのきなみ休館。緊急事態宣言が解除されてからもイベントは中止。でも時間ができたおかげで商品開発に時間を費やせたり、つながりができたりケガの功名みたいなところもありました。
村だからこその安心感
ー改めて、葛尾村で暮らして良かったと感じていることがあったら教えてください!
Rさん(夫):まず、都会だと人が多い。誰がいるかわらからない不安がある。でもここでは誰がいるか、生活様式もなんとなくわかります。このコロナ禍では村にいたほうがリスク回避できるし、外は人も少なく自由に遊べます。
また繰り返しりになりますが、子育てには本当にいい環境です。多世代の方が子どもに接してくれますし、親が努力して工夫すれば、同世代との関わりも持てるようになります。村の支援メニューも充実しているのでぜひ見てもらいたいですね。
ーRさんご家族の葛尾暮らしぶりが聴けてとてもワクワクしました!お二人ともありがとうございました!
「復興交流館あぜりあ」についての情報はこちらから
取材日 :2020年6月
取材・文:コトハナ編集部
イラスト:KUMA DESIGN WORKS