公開日:2021-04-27 最終更新日:2021-05-22

cotohanaインタビュー│サポーター・横須賀直生さん

「“ここ”で子育てしてよかった」。そんな実感にあふれた地域を目指して双葉郡で活動するcotohanaを、応援してくれる人たちがいます。cotohanaのサポーターということはつまり、日々子育てに奮闘するママやパパ、そして子どもたちのサポーターにほかなりません。
「どうしてcotohanaを応援しているの」。そんな素朴な疑問を引っ提げて、サポーターのみなさんにお話を聞きにいきました。cotohanaに関わる人々の思いに触れていただけたら幸いです。
第1回目は、楢葉町でお菓子屋さんを営む横須賀直生さん。自身も3児のママでありながら、コトハナのサロンを子どもたちの見守り隊として支えてくれています。

―楢葉町で「おかしなお菓子屋さんLiebe(リーベ)」を切り盛りする横須賀さん。 cotohanaに関わるきっかけはなんだったんですか?

はじめは、cotohanaで開催しているサロンにお菓子作りの講師として呼ばれました。

その後、コトハナのスタッフミーティングの間、スタッフのお子さんを「私、見てるよ」って子守りしたことがあったんです。それから「手伝えることがあるなら、声かけて」と。サロンでママたちがおしゃべりなどを楽しむ間、お子さんたちの見守りをお手伝いするようになりました。

―ご自身も3人のママですね。

長女(取材当時5歳)と長男(同4歳)は平日はこども園で、料理人の夫は日中、家にいるので、見守りのお手伝いの時は次男(同7か月)は夫に任せています。

―お菓子屋さんのHPで、特別にママたちに向けて「お店に遊びに来てね」というメッセージを打ち出していますね。

2019年3月に故郷である楢葉町に戻ってくるまでは、水戸市で長女と長男を育てていました。県外出身者で友達もいない。夫は当時、昼も夜も仕事で完全にワンオペ育児。アパートの一室で、あれが大変、これが分からないと思っても、聞く人もいなかった。心に傷を負った…とは言わなくても、結構つらかったんですよね。

買い物に行く間だけ子どもたちを見てくれる人が欲しかったし、夫が「子ども見てるから出かけておいで」と言ってくれた時に一緒に遊べる友人が欲しかった。何より、いつか振り返って「育児って楽しかったあ」って言える毎日を過ごしたかったんですよ。でも、そんなこと、とても思えなかった。

今、私は地元の楢葉町にいて、周りは知っている人だらけで、手を挙げたら誰かが助けてくれる環境にいます。それならば、あの時の私と同じ立場にいる女性たちに、どうしても楽しく毎日を過ごしてもらいたいって、あの時助けられなかった自分を助けるような気持ちで、声を上げられない人がいるなら私から声をかけたいという思いがあって。

その意味で、お菓子屋さんをここで続けるのは大事だと思っています。女性がお店に入った時の「わあ!かわいい!」っていう感じ。いわきとか郡外に行かないと楽しみがないっていうんじゃなくて、この店が一種の娯楽施設でもあってほしいと願っています。特にママに対するメッセージは届けたいと思っているから声を大にして言っていますけど、ママでも独身の人でも、女性の「わあ!」っていう時間、結構大事だと思うんです。だからここでお店をやり続けようって思っています。

―楢葉町に帰るという決断は?

夫と長い時間をかけて、喧嘩もしながら決めました。夫にとっては知らない土地に来るわけだし、私自身も不安を抱えていました。当時は楢葉町の避難指示解除から3年くらいで、たとえば子どもに土を触らせていいのか不安でしたし、楢葉出身となる子どもたちが将来何か言われることはないかって、そこまで想像して話し合いました。私の性格上、一回やってみないと分からないんですよね。「楢葉に戻って、だめだと思ったらまた引っ越せばいい」。最後にはある意味、軽い気持ちで戻ることに決めました。

―「不安が続くなら引っ越そう」と思って戻った楢葉町で3人目が生まれました。

住んでみたら「不安」が少しずつ抜けていって、そこに新しく「楽しい」が入ってくる感じですかね。パパも仕事が変わって家族と一緒にいる時間が増えて、家族の時間が「すごい幸せで楽しい」。そして「もう1人欲しいね」って自然に思えました。

楽しさの要素の一つはやっぱり友達がいることです。地元に戻ってきたからって旧友が今も楢葉にいるかというとそうじゃない。でも、こちらで夫婦とも仕事を始めると人脈がどんどん増えていきました。子どもがいない人でも、会う時に子どもが一緒で気にしないっていう友人が結構多くて、そうすると子育てが俄然楽になって、楽しいって思えるんです。

―子育てサロンが必要な理由ってなんだと思いますか?

水戸にいた時、孤独すぎて誰か大人としゃべりたくて、ママ友を作ろうと子育て支援センターに通いました。でも、歩き始めた1歳児を横目に大人の話なんてできないです。その場では多少話しても友達には発展しない。支援センターに来てもみんなが子どもの面倒をみるのに大変で、親同士が友達をつくれる雰囲気は一切なかったです。

お母さんっていつも勉強中だから、同じ月齢の子どもを持つ人たちの日常的な繋がりに救われると思います。だからこそ、cotohanaのサロンは大事だと思います。30分間でも、子どもを気にせず大人同士が話せたらそれはかなりすごいことなんですよ。子どもの見守り付きのこういうサロンがあることで生まれるものは大きいと思います。

―コトハナの目的はパパやママが「双葉郡」での子育てを楽しむこと。町枠じゃなく郡での取り組みって、しっくりきますか?

現時点でピンと来ない部分もあるけど、やった方がいいと思います。というのも、私が子どもの頃、他町に対抗意識をもつ一方で「ほかの地域の友達ほしいなあ」って思っていたんです。楢葉だけだったら、子どもたちは友達を楢葉でつくるしかない。でも、もし広野にも浪江にも友達がいたら、もし楢葉の友達とうまくいかなくても、へっちゃらですよね。だから、町を越えた子どもたちの交流はあった方がいいと思っていますし、そのためにできることはしたいです。

―短い取材中にも子ども連れのお客さんが複数ありました。お客さんからお子さんを自然に抱き取り、あやし、そのまま接客しちゃう姿が印象的でした。

いつもこんなですよ。私はここの出身だから、お子さんを連れたお客さん同士が知らなくても、私を介して知り合うことができますよね。そういう場にこの店がなればいいなといつも思っています。


「おかしなお菓子屋さんLiebe(リーベ)」
住  所:双葉郡楢葉町上繁岡小六郎71-40
営業時間:月~土曜日午前10時~午後5時
お店での販売は焼菓子が中心。ケーキのご予約は注文が確実です。

横須賀さんが営む Liebe 外観

取材日 :2021年3月
取材・文:喜浦遊

掲載情報にご注意ください

当サイトで紹介・掲載している、施設やイベントの各情報は、新型コロナウィルスの感染状況や対策方針によって変更となっている場合があります。 最新の情報に関しましては、公式サイトをご覧になるか、各施設・主催者までお問合せ下さい。

※尚、今後の状況によって掲載内容が変更になる場合がありますので、予めご了承ください。
関連記事