子どもと家族の節目に寄り添う写真を│コススタ手塚さん
“まちの写真館”といえば、家族写真や七五三などのハレの日に利用したことのある方も多いのではないでしょうか。近頃は撮影スタジオの選択肢も増え、さまざまなシーンを残すことができるようになりましたね。そんな中、“まちの写真館”として富岡町に撮影スタジオが誕生しました。町の中心部に位置する元銀行の建物を活用し、「撮影スタジオ写真館コススタ」(以下コススタ)をオープン。どんな思いでこの地で写真館をオープンすることとなったのか、お話を伺いました。
―まずは、自己紹介をお願いします。
手塚純教(あつのり)と申します。生まれも育ちも富岡町で、高校時代まで過ごしました。英語とITに興味があったので、英語で授業を受けられる会津大学へ進学。大学在学中に震災に遭いましたが、家族は全員無事でした。
その後大学院まで進み、卒業後はシンガポールの大学へ就職しました。もともと海外への興味も強くて、そこではITの仕事を中心に1年間くらい過ごして。日本に戻ってからもSEなどの仕事をしていました。
―富岡町に戻ってこられたきっかけは?
大きな決め手になったのは、「若者起業支援事業 HAMADOORIフェニックスプロジェクト(※1)」です。
このプロジェクトは、「一般社団法人HAMADOORI13」という組織が、浜通りで起業する若者の支援や事業立ち上げのサポートを行っていて、その一環で行われていたプロジェクトでした。この機会を逃す手はない! と思い、第二期の募集に応募したんです。
―それがこの「コススタ」の立ち上げだったと。
そうです。コススタを立ち上げようと思ったのは、富岡町で思い出深い“まちの写真館”が原点あります。僕の子ども時代、家族で七五三とか何かの記念写真とか、成人式とか、いろんなシーンを地元の写真館で撮ってもらっていたんですよね。
でもいま、富岡町をはじめ、地域に写真館ってないじゃないですか。やっぱり人が戻ってくるためには、そういう“思い出”の場所があってもいいんじゃないかと思ったんです。カメラが趣味でずっと撮っていたんですが、建物が新しくなったり、いろんな人の出入りがあったりで変化が激しい地域なので、その変化を記録して残したいなと思って、撮影スタジオを立ち上げようと思いました。
―コススタではどういった写真を撮影されますか?
家族写真を撮ることが多いですね。お子さんであればハーフバースデーであったり、〇歳記念だったり。小さいお子さんが多いです。ご家族全員がそろった写真とかも多いですね。
あとは、名前からも想像できる方もいらっしゃるかもしれませんが、コスプレ姿で撮影できるスタジオでもあります。
―それは面白いですね(笑)。コスプレというところに焦点をあてた理由は何だったんですか?
写真館をやるとは決まっていたけど、写真館だけだとこの近隣の方しか来ないんじゃないかなと思ったんです。例えばここからだったらいわき市の写真館には行くとしても、わざわざ関東の写真館まで撮りに行ったりはしないですよね。
地元の方だけでなく、遠方から来てもらう理由として「コスプレイヤーにも使ってほしいな」と思いついたんです。この地域がもっと上向きになっていくためには、地元以外の方にも来ていただくことも意味があると思うんです。もともと富岡にゆかりのない人がこの地域に足を運ぶきっかけのひとつとして、コスプレで撮影できるということをこのメニューに付け足しました。
―実際に撮影スタジオを開いてみていかがですか?
地元の方は家族写真を撮られたり、ポートレート撮影をされたりということが多いですね。コスプレもやってみたら実は結構反響があって、県外の方が来てくれています。
これまで撮影してきた中でも、やっぱり地元に写真館があると嬉しいというお声もいただいていて。
富岡町には以前、「竹村写真館」というまちの写真館があったのですが、それはもうなくなってしまいました。おこがましいとは思いつつ、その跡を継ごうかなという気持ちです。僕もその写真館で撮ってもらったことがあるんですけど、家族との思い出なんですよね。写真館って結構記憶に残るというか、いい思い出になりやすいなあと。そういう家族の思い出づくりにも携われたら嬉しいなと思っています。
―これからご提案したいプランなどもあるんですか?
お子さんの記録を残していくお手伝いができたらと思います。七五三とかですね。僕は着付けができないのでそこは外部の方に頼ることになるのですが、場所はあるので、ぜひ使っていただきたいです。ただ、案はたくさんあって(笑)。まだ実現できてないのですが、成人式なんかも対応していきたいです。
あとは、お見合い写真・生前写真など、その人らしさが伝わるような写真も撮りたいですね。
もちろん、地元の方でコスプレしてみたい! という方も大歓迎です(笑)。
素敵な神社仏閣も近くにあるので外で写真を撮るのも考えています。
―これからのシーズンは屋外で撮影するのも気持ちがよさそうですね。
そうですね。実は2023年の春に、夜の森の桜の下で多くのご家族の写真を撮らせていただきました。プリンターとパソコンを持参して、その場でプリントしてプレゼントできるようにしたんです。通りかかる方々に積極的に声をかけさせていただき、1日あたり30組以上の方の「春の一枚」を撮影させていただきました。今年もやりたいなと思っています。
―いろんな方の思い出づくりのきっかけになるといいですね。
お子さんだけのシーンを想像しても、いろんな場面があるじゃないですか。誕生日だけでなくて、春夏秋冬だったり、入園・入学・卒業だったり……そういった節目に寄り添って写真というかたちで残すお手伝いがしたいですね。お子さんの成長を一緒に感じたいなと思っています。ぜひご家族でコススタをご利用いただけたらと思います。
撮影スタジオ写真館コススタ:https://cosstar.net/
取 材:コトハナ編集部
写 真:塩沼 麻衣
写真提供:撮影スタジオ写真館コススタ
(※1)「若者起業支援事業 HAMADOORIフェニックスプロジェクト」