公開日:2022-04-15 最終更新日:2022-07-07

優しくあるために、働きたい。│出張ネイルサロン『OPERA』橘 輝さん

富岡町に2020年秋、夫と当時生まれたばかりの長女とともに富岡町に移住した橘 輝(ひかる)さんが、出張ネイルサロン「OPERA」をオープンしました。引っ越してきた土地で、第一子の子育てに奮闘する中での開業。「なぜこのタイミングで?」 橘さんが子育てと仕事の両立を選んだ理由を聞いてみました。

―橘さんは、富岡町にゆかりがあったわけではないんですよね?

橘さん:はい。私も夫も福島県外の出身で、夫の赴任に伴って富岡町に来ました。ネイルサロンは2021年11月30日にオープン。爪のケア、ジェルネイルの施術が主です。娘が1歳で小さいので、熱を出すなどしてこども園から「迎えに来て下さい」って言われた時に移動の時間をかけないように、出張の範囲は町内に限っています。ただ、町外の方でも富岡町まで来ていただければ施術します。

―娘さんが小さい中での開業は大変じゃなかったですか?

橘さん:正直なところ、慣れない環境で初めての育児をして、「私は働いた方がいい」と思ったんです。産まれてすぐの頃は、娘が泣いたり、授乳を嫌がったりすることに「難しいな」って、どう接したらいいのか分からなくて、24時間気が張っていてしんどかった。最近は、歩くようになって元気過ぎて、言うこときかなくてしんどい。出産前から育児ってしんどいんだろうな、と思ってましたけど、想像以上でした(笑)。

娘はもちろんかわいいんですよ。「かわいい」と思う時間の方が長いんだけど、ふいにメーター振り切るくらいのイライラがどーんと来る。これじゃ、娘にも感情的に怒ってしまうから、優しくいられるように、離れる時間があった方がいい、働きたいと思っていました。もし親が近くにいたら、娘を預けたりして、仕事をしなくても少し距離を置く方法があったのかもしれないですけど、近くにはいないので。

こども園に申請するために、2021年8月に税務署に自営業の開業届を出しました。開業届けを出すときはやっぱり緊張しましたね。「収入なかったらどうするんだろう」とか。税務署の人に売上げがない人もいるって聞いて、少し安心しました。

―家族では話し合いましたか?

夫は「働かなくてもいいし、働かないのがしんどいんだったら働けばいい」と。私としては、育った家が母親も働くのが当たり前という環境だったので、夫一人が働いていることに罪悪感みたいなものもあったんですよね。しかも、夫は家事、やるんですよ。出産前からなんですが、晩御飯を作るのは夫。朝も私の分も作って出勤します。だからなおさら、自分だけ仕事していないのが申し訳ない! ってなって。家事も仕事も夫婦でやる。仕事の間、こども園に行っている娘も含めて、家族は「チーム」って感じです。

―開業して、子育てへの影響はいかがでしょう。

橘さん:楽になりました。日常にメリハリが出る。私の場合、日中仕事をしたから夜はゆっくりしようと思えます。ただ、開業後しばらくして、「あれ、疲れるな」と思ったら、子育てと仕事でほぼ休みがなかったんですよ。自営業だから忙しさのコントロールはしやすいはずですが、周りからは「あなたは根を詰めすぎるから真面目にやりすぎないこと、自営のメリットを生かしなさい」と忠告されています。

―ネイルの仕事はずっとされていたんですか?

いえ、高校卒業後、妊娠するまでの8年間はブライダルのフォトスタジオのカメラマンでした。カメラの仕事は好きでしたが、体調を崩して仕事をお休みした時期があって、その間にネイルの勉強を始めて、資格を取ったんです。

一番好きなのはネイルアート。子どものころ、画家になりたいと思っていたくらい絵を描くのが好きです。接客も好きですね。カメラマンの時もそうですが、目の前のお客さんに喜んでもらうことがうれしい。お客さんが求めていることを、それ以上の形で返すことを意識しています。サロンの名前の「OPERA」は英語で「作品」って意味です。自分なりの作品を、今はネイルの形でお客さんの爪の上にお届けしているつもりです。

―地縁のない富岡町で開業する難しさはなかったですか?

橘さん:チップ(付け爪)のオーダーメイドならネットで全国から注文が取れますし、施術は出張を前提にしていて店舗を探す必要もなかったので、特に難しさはなかったです。ご縁をいただいて、町外のお客様用の場所を借りる算段も付きましたし。店舗にかかる費用がない分、施術の価格は抑えられたので、ネイルをしたことのない方にも気軽に始めてもらえたらいいと思っています。最近は、70代くらいのお客さんが多いんです。美意識の高い年配の方が多いなあって感じています。

before
after

―育児と仕事、家事の狭間で迷ったり、悩んだりする人もいると思います。橘さんにとっては、仕事が育児や家事を円滑にする方法であったように感じます。

橘さん:そうですね。でも、私も迷いましたよ。こんなに小さいころから娘を預けるのはかわいそうかなって思ってたし、でも、自分の精神的な負担は大きいし……。誰に言われたわけじゃなくても、「3歳までは親元で」とか、保育所に預けることを「かわいそう」っていう声って耳に入ってくるんですよね。自分がその立場になった時、保育所に預けることをはっきりと肯定してくれる人は周りにいなかったですし……。富岡町では生後10カ月からこども園に預けられるんですが、1歳まで待ったのも、私自身が預けることを寂しく思うんじゃないかっていう、そんな理由もありました。

でも、いざこども園に預けた初日、私、娘を預けた後、車までスキップするように帰ったんですよ。「この時間、有意義に使うぞ!」って。娘も1週間くらいは人見知りしたり、給食をあまり食べなかったりしたんですが、その後は成長が著しい。ご飯をたくさん食べて、2時間昼寝して、娘の生活が規則正しくなりました。うちの場合は、こども園に預けて良かった、マイナスはひとつもない! って言えます。何がいいかは人によって、家庭によって違うと思いますが、私は自分に向いている方法で、これからも働いていくと思います。


NAIL SALON 「OPERA」

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取材・文/喜浦遊

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