小さなアレンジを重ねてきた6年間
―この6年間で、コトハナの事業はどのように変化しましたか?
なおこ:団体として活動をスタートした頃は、親子で参加できるサロンや遊び場などの運営、情報誌・Webメディアによる情報発信が主な事業でした。その後、「ふたばで七五三お祝いプラン」の企画・運営、とみおかこども食堂の運営サポート、ヒアリング事業などが始まり、子育て中の家族だけでなく、地域の方との関係性も深まっていきましたね。
みなみ:そして2025年現在は、コトハナが主体となってイベント企画・運営するだけでなく、地域で活動する方をサポートする機会も増えています。例えば、地域団体や行政機関が行う居場所づくり事業・子育てサービスの設計・親子向けイベントの企画に、コトハナがアドバイザーとして関わった例がありました。このような関わり方ができるなんて、団体立上げ当初には想像していませんでした。
ー活動が変化する、ターニングポイントとなった事業はありましたか?
なおこ:「双葉郡における子育てに関する調査」事業ですね。調査統計士もチームに参画してもらって進める本格的な調査だったので、準備も実施も苦労しました。しかし、それまで感覚的に捉えていた「双葉郡の子育ての実態」をデータ化できたことは、コトハナの対外的な信頼性を高めるうえで、非常に意義深いものだったと思います。
―なるほど。そして活動の幅が、どんどん広がっていったのですね。
みなみ:活動は拡大していますが、コトハナスタッフの人数は4人のままです。「その人数でどうやって仕事を回しているの!?」と驚かれることもあります(笑)。それはひとえに、地域のサポーターのみなさんのおかげです。私たちは勝手に「コトハナファミリー」だと思っています。
―サポーターにはどんな人たちがいるのでしょうか?
なおこ:地域ごとやプロジェクトごとに、「お手伝いをしたいから声をかけてね!」と名乗りをあげてくれている方々がいるんです。たくさんの方と信頼関係を築けたことは、この6年間の大きな成果だと感じています。

―協力者が増えた理由は何だと思いますか?
なおこ:今、この地域で子どもをもつ人だけで子育てをすることは本当に大変です。では、周りの人たちも一緒に子育てについて考え、「それって大事だよね!」と共感してもらうにはどうすれば良いのか。それに愚直に向き合い、試行錯誤してきた結果、協力してくださる方が増えていきました。ひと口に双葉郡といっても、それぞれの地域で特性が異なります。さらに双葉郡は、目まぐるしいスピードで変化を続けているエリアです。同じシリーズのイベントでも、過去の開催回と全く同じ内容で行うことが最善とは言えません。
みなみ:だから私たちは、それぞれの取り組みが一人でも多くの人に刺さるように、その取り組みに関わる人の顔を思い浮かべながら、小さなアレンジを加えてきました。この試行錯誤の繰り返しは、手間も時間もかかるものですが本当に楽しかったです。それこそ、6年間という年月を「あっという間」だったと感じるほどに…。
困った時に手を伸ばしてもらえる存在になりたい
ーおふたりの活動のモチベーションになっているものを教えてください。
みなみ:コトハナの仲間の存在です。活動を続けてきた6年間、うまくいかないことや不甲斐なさを感じる場面は、数えきれないほどありました。それでも、転ぶたびに手をさしのべてくれる仲間がいたから、今日まで何とかやれています。
なおこ:私も、コトハナの仲間たちと活動する楽しさが、そのままエネルギーになっています。私は元々、人のサポートをすることが好きな性分なので、地域や団体を盛り上げるために動くときは、とてもワクワクしているんです。その中で「自分が楽しむ」ことも大事にしたいなと思い、いろんなことにチャレンジしてます。
みなみ:そして活動を通して出会えるこどもたちの、成長する姿もやりがいです。一人ひとりのもつたくましさに、「私も成長していこう」と元気をもらえます。

ーコトハナの活動を通じて、子育てする方々に伝えたいメッセージを教えてください。
みなみ:「自分の気持ちに正直であっていい」ということです。子育てする日々の中には、喜びはもちろん、「これはまいったなぁ」と、家族だけでは対峙するのが難しいことも立ち現れます。そんな時、力になりたいと思っている人が家庭の外にもいることを思い出してもらえたら嬉しいです。私自身、周囲に助けてもらいながら地域の中で子育てをしています。「助けて」と素直に言える環境のありがたさを実感しているからこそ、私も同じく子育てする友人・仲間の力になれるよう心を尽くしたいと思っています。
なおこ:私たちコトハナスタッフも、それぞれの子育ての話をしたり、こども同士の交流の場をつくったりと、みなみを助けつつ「お互いの子育てをシェア」して、結束を強めています。
みなみ:本当に助けられていますよ。こどもたちだけでなく、こどもを育む大人が地域で生き生きと暮らしていけることの大事さを感じています。そんな私たちの体感をみなさんへ、コトハナの活動を通して伝えられたらいいなと思っています。
ーコトハナが「地域で果たしたい役割」とは何でしょうか?
なおこ:地域の足りないパーツを補う存在、ですかね。私たち自身がパーツとしてひとつの機能を担っても良いですし、ぴたりと当てはまる誰かをコーディネートしても良い。変化し続ける双葉郡で、その時々の最善を考え続けていきたいです。
みなみ:そして双葉郡が「誰ひとり取り残さない地域」になったら嬉しいよね。支えが必要な時に、情報が届く地域を目指して、試行錯誤を続ける。そんなコトハナの活動を面白がって、見守りながら参加してくれる方々には、感謝しかありません。
「子育てに必要なもの」をこれからもみんなで探したい
ー6年間活動してきたからこそ感じる「双葉郡の可能性」を教えてください。
みなみ・なおこ:……可能性だらけ、というよりは「可能性しかない」…?それって綺麗に聞こえすぎるでしょうか?(笑)

みなみ:活動を続けるほどに、「双葉郡は『子育てに関する本質的な問い』を自由に探求できる地域なのかもしれない」と感じるようになりました。こどもたちのためには何が必要か。親はどのようにあるべきか。既存の価値観や慣習にとらわれずに、考えていけるのだと思います。
なおこ:だからこそコトハナの活動では「子育てとは」の問いに、書籍やWEBサイトで述べられているような、定型の答えを探すことをゴールとしていません。「自分たちの内側の声」を元にした答えを探すことを目指しています。
ーなるほど。「より良い子育てのカタチ」を、自分たちで探していけるのですね。
なおこ:加えて双葉郡は、現在子育て中のパパママだけでなく、地域のみなさんが「こどものために何かしたい」という気持ちを素直に表現できる地域です。コトハナの提案に共感してくれているみなさんが、子育てを自分ごととして考えて、活動に関わってくれています。「地域が目指すべき子育ての姿」は、子育て家族だけでなく、地域に暮らす人全体の内側にあるのですよね。
みなみ:これからも、双葉郡に住む人の一人ひとりに「あなたの暮らしも大切な町の一部なんだよ」と語りかけられる方法を、模索していきたいです。

ーこれからコトハナが挑戦したいことを教えてください。
なおこ:「こどもたちの声を聞くこと」ですね。こどもたちが地域をどう見ているのか、一人ひとりに問いかけてみたら、きっと面白い発見があるはずです。
みなみ:「こどもたちが、自身の素直な声を聞かせてくれるくらい、とことんこどもたちに向き合っていきたい」という、私たちなりの決意も込められています。もちろん、自分たちの子育てにも、とことん向き合いながら。
なおこ:そうね、自分の子育て、自分の暮らしづくりにも真剣なのが「コトハナらしさ」だよね。コトハナの活動を通じて、自分たちも子育てを楽しみたい。だからこそ、子育てをする人もこどもたちも楽しめる環境になるように、これからもこの地域と向き合っていきたいです。

