公開日:2025-02-10 最終更新日:2025-02-21

cotohanaインタビュー│サポーター・おひな

子どもと大人、親子と地域、学校と家庭。さまざまな2つの“間”をつなぐのも、cotohanaの役割なのかもしれません。子ども・大人・地域とのより良い関わり方を探して、日々を楽しみつつも奮闘するcotohanaサポーター「おひな」を紹介します。おひなは東北芸術工科大学に通う4年生で、2024年11月現在は富岡町で暮らしながら卒業研究に励んでいます。cotohanaを含め、さまざまな地域活動に参加する彼女の思いを聞いてみました。

地域の子どもたちと関わりたくて富岡町へ

ーまずは自己紹介をどうぞ!

おひな:本名は日向 志帆といいます。みんなから「おひな」と呼ばれています。出身は山形県山形市で、現在は東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科に在学しています。大学では「まちづくり」や「教育」について学んでいて、富岡町で暮らしているのは卒業研究のためでもあります。大学の講義は週1回程度、リモートで受講しています。

ーcotohana以外の活動にも参加しているそうですね。

おひな:富岡町では2018年から、アーティストが転校生として富岡小中学校に滞在しながら制作を行う「PinSプロジェクト」1という取り組みが展開されています。アーティストの滞在期間中は、私もアシスタントとして学校にお邪魔しているので、子どもたちとはすっかり顔馴染みです。

ーめちゃめちゃアクティブですね!現役大学生のおひなが、富岡町に来ようと思ったきっかけって何だったのでしょうか?

おひな:一番最初のきっかけは、2022年のクリスマスですね。大学の先輩を訪ねて楢葉町に来た際、cotohana共同代表の鈴木みなみさん親子に初めて会いました。みなみさん親子も交えて、その場に集まった人たちとご飯を食べに行った際に、たまたま一緒のテーブルになり、たくさんお話しました。みなみさんも私も同じく山形県出身なこともあり、私が山形県に戻った後も、ふとした時に思い出して「元気かな」と気にかけるようになりました。

ーそして、富岡町に来たのはいつ頃ですか?

おひな:2024年1月に、PinSプロジェクトを企画・運営するNPO法人インビジブル※2のインターン生として富岡町に1ヶ月ほど滞在していました。cotohanaの活動に参加し始めたのも、この頃ですね。そして、子どもたちと日常をもっと身近に感じたいと思い、2024年5月から富岡町で落ち着いて暮らし始めました。

ー富岡町で暮らし始めてから、気持ちに変化はありましたか?

おひな:普通の大学生活ではあまり関われない年齢層・職業の方々との出会いが多かったので、来たばかりの頃は、人との距離の縮め方に戸惑っていました。しかし、だんだん知り合いが増え、接する機会が増え、相手のことを多面的に知るようになってから、「人の表面ばかりを見ていたから不安だったんだ」と気づいたんですよ。富岡町に来てから出会った方々は、肩書きや背景を気にせず、私を目の前にいる「いち個人」として受け入れてくれます。そんな寛容さに触れてから、「私もそうありたい、怖がらずに飛び込んでみよう!」と思うようになりました。そこで、初めてお会いする方と話を広げるために、「おひなのとみおかくらし」という自己紹介用のペーパーを、不定期で発行しています。

cotohanaが起点となって人の輪が広がった

ーcotohanaではどんな活動をしているんですか?

おひな:主に、こども食堂や冒険ひろばなど富岡町内の活動に関わってイベントスタッフをしています。2024年6月には、町内の音カフェ721さんで、ペイントイベントの企画にも挑戦させてもらいました。

ー楽しさを感じるのは、どんな時ですか?

おひな:子どもたちと仲良くなって、同世代の友達みたいに遊べるようになった時にですね。子どもたちからは、学びも元気ももらっています。今では子どもだけじゃなく、保護者の方も友達感覚です。仲良くなるにつれ、「子どもの親御さん」としてではなく、「仲良くしてくれるお兄さんお姉さん」として見えてきました。

ーcotohanaサポーターになって良かったと思うことってありますか?

おひな:話しきれないほどたくさんあります!富岡町内で子どもと地域とのコミュニティづくりを行う団体は多くないからこそ「cotohanaにいる子」というだけで、初めてお会いする方にも私の関心を理解してもらえます。それに、自身は子育て中ではなくても富岡町の子どもたちを我が子のように感じている方々など、cotohanaにいなかったら出会えなかった人とも知り合いになれました。学校の中では見られない、子どもたちの一面を見つけるのも楽しいです!えっと、それから…

ー本当にたくさんありそうですね~!

おひな:そうなんですよー!プライベートで楢葉町の花火大会やカラオケに誘ってもらえるくらい、家族ぐるみで仲良くしてくれる方が増えました。cotohanaの活動に集まるみなさんは「子どもも大人も、一人の人間だから大切にしよう」と考える人が多くて、価値観にすごく共感させられます。そしてcotohanaのスタッフも、さり気なく、私の得意なことや好きなことを引き出すような仕事を任せてくれます。成長を見守ってくれる、やさしい環境です。

(写真:日野涼音)

これからも「おひな」として一緒に

ーたくさん子どもと接してきたからこそ見えてきた、「この地域の子どもたちの特徴」ってありますか?

おひな:人間一人ひとり違うため、この地域の子どもたちをひとまとめにするのは難しいのですが、富岡町に来てから、子どもたちの探求心の強さに驚かされる機会が増えた実感はあります。たくさんの疑問を見逃さずに捉え、自分なりに考える力があるのでしょうね。「大学生って子どもなの?大人なの?」と、突然聞かれたこともありました。

ーこの地域に来たことで、おひなにも変化はありましたか?

おひな:自分が何を大切にしたいか、見つめ直す機会をもらえました。富岡町で出会った方々との関係は、大きな家族みたいです。自分にもこの町のために、何より自分のためにまだまだできることがあると、可能性や存在価値を肯定してもらい、救われたような気持ちです。おかげで、「私が大切にしたいこと」の輪郭が見え始めてきました。

ーこれからやりたいことってありますか?

おひな:子どもたちと、いろんな問いを追い続けたいです。子どもたちが「自分の定規」を大切にすること。そして、自分の定規で測れないものに出会った際に、新たな学びを得る力をもつこと。これらをベースにして、世の中がどんなに変化しても「なりたいようになれる」力を、これからも子どもたちと大事にしていきたいです。

*1「PinSプロジェクト」https://pinsproject.net/

「Professionals in School (プロフェッショナル転校生)」プロジェクトは、「コミュニティの拠点となる学校」に向けて、ひとづくりを標榜し、富岡町立小中学校を舞台に2018年から実施。アーティスト、建築家、音楽家などクリエイティブな職種のその道のプロが「転校生」に扮し、教育現場で子供たちと生活を共にしながら世代を超えた共育・学び合いの環境づくりに取り組む。「NPO法人インビジブル」が企画・運営。

*2「NPO法人インビジブル」https://invisible.tokyo/

「invisible to visible(見えないものを可視化する)」をコンセプトに、アート、文化、クリエイティブの力を用いて、地域再生、都市開発、教育などさまざま領域におけるプロジェクトに取組む団体。

取材・文:橋本 華加

写  真:Akitomo YOSHIDA /日野 涼音

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